「流星の絆」主人公の三兄弟を喰った名脇役

<上記の画像は、TBSホームページ「流星の絆」のページより引用>

登場人物で誰が好き?

「流星の絆」の登場人物で誰が好きかと聞かれれば、間違いなく「戸神行成」の名前を一番に挙げる、それぐらい僕にとっては印象深いキャラクターであった。

この小説を、切なく泣けるものに仕上げたのも彼の功績が大きいし、読後の爽快感に至っては彼の存在なしには語れないほどだ。まさに、主人公の三兄弟を喰ってしまった名脇役だと言えよう。

さて、その「戸神行成」は、この小説の中でどのような役割なのか、以下に説明しておく。

流星を見るために夜中に家を抜け出しだ幼い頃の三兄妹。家に帰ると両親が何者かに殺害されていた。犯人が見つからないまま大人になった三兄妹は、生き抜くために詐欺を生業として力を合せて生きてきた。そんな詐欺のターゲットに選ばれた一人の男の父親が、たまたま自分たちの両親を殺害した犯人かもしれないことが分かる。そんな殺人犯かもしれない男を父に持った息子、それが「戸神行成」である。しかも、この「戸神行成」に、三兄妹の末の妹・静奈が恋心を抱くようになる。

というわけだ。
つまり、敵の息子に恋をしてしまう妹の切ない気持ち。そして、それに気付いた兄たちはどうするのか?それが、このストーリーの肝になっている部分である。

戸神行成は、とても周りに気配りが出来る人間として描かれている。そんなに気配りが出来るにも関わらず、静奈が詐欺のターゲットして自分に騙して近づいたことも、また、自分に対して好意を持っていることもまったく気付いていない。このように女性に対して初心(うぶ)で鈍いのが、この戸神行成の魅力のひとつである。

自分が騙されていることも気付かずに、どんどん静奈に惹かれていく行成。そして、行成を騙し続けていることに心苦しさを感じていく静奈。この二人が最終的にどうなるのか?それが、この小説の最大の見所だと言えよう。

事件の真相も意外であったが、それ以上に、戸神行成の最後の選択は印象深かった。泣けるけれど、読後は爽快感に包まれる作品であった。

>>>小説【流星の絆】のあらすじはこちらから

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