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分身

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あらすじOutline

「もしかして私は母に嫌われているんじゃないか?」函館市生まれの氏家鞠子は、小学生高学年の頃からそんな疑問を感じ悩んでいた。そして、鞠子が中学1年の時に悲劇が起こる。鞠子の母が一家心中を図り、母だけが亡くなったのである。なぜ母は一家心中を図ったのか?その謎を解明するために、大学生になった18歳の鞠子は東京にやってきた。東京での捜査を続けるうちに、自分に瓜二つの女性・小林双葉の存在を知ることになる。

一方、東京育ちの小林双葉は、高校2年の時からアマチュアバンドに入りボーカルをやっていた。やがて20歳の時にテレビ出演というビッグチャンスに恵まれるが、なぜか母からは猛反対される。しかし、母の反対を押し切り、双葉はテレビ出演を果たす。双葉は、母から激しく怒られることを覚悟するが、母には怒るような気配がなく、それがかえって双葉を不安にさせた。

その不安が的中するように、母がひき逃げ事件で死亡することになる。「母のひき逃げ事件の原因は、きっと私のテレビ出演にある。」そう感じた双葉は、その真相を求めて北海道に向かう。そして、北海道での捜査を続けるうちに、自分に瓜二つの女性・氏家鞠子の存在を知ることになる。

瓜二つの鞠子と双葉。まったく違う地で育ったこの二人に隠された秘密とは一体何なのか?

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この小説「分身」の最大の謎は、なぜ、氏家鞠子と小林双葉が瓜二つなのか?ということです。はじめは、この二人は双子では?という推測が持ち上がってくる。しかし、二人の年齢が違うこと、また、それぞれが間違いなく別の母親から生まれていることが分かってくるので、この推測が間違っていることがだんだんと分かってきます。この謎を推測しながら読み進めるのが最大の面白みでありましょう。

東野圭吾氏の経歴に大いに関係していると思われるが、彼の作品には最先端技術を扱った作品が多く、この作品も確かにその部類に含まれていると思う。こう書くと、勘の良い読者なら、最大の謎が何なのかが容易に想像つくと思うが、それは、「分身」というタイトルからだけでも十分に予測できることであり、その謎の正体が分かったとしても、この小説の面白みが半減することはないと思う。なぜなら、やはり小説の構成がしっかりしているからであろう。

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