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「11文字の殺人」のあらすじOutline
あたしは女流ミステリー作家。そのあたしの恋人でフリーライターの川津将之が殺害された。彼はあたしに「誰かが僕の命を狙っているらしいんだ」と打ち明けていた。そして、それが現実となってしまったのだ。
川津の葬式の2日後、彼の妹から連絡があり、あたしは遺品となった彼の取材資料を譲り受けることになった。フリーライターとして他分野に挑んできた彼の取材資料なら、ミステリー作家のあたしにとっても、貴重な資料になるに違いなかったからだ。
その川津から譲り受けた取材資料を見せて欲しいという人物が現れた。川津と一緒に仕事をしたことがある女性カメラマンの新里美由紀だ。しかし、その新里も殺害されてしまう。彼女の探していた取材資料が今回の事件に関連しているのではないかと考えたあたしは、担当編集者で友人でもある冬子とともに真相を追うことにする。
やがて、今回の事件で殺害された川津と新里は、昨年のクルージング・ツアーの参加者であったことが分かった。しかも、クルージング・ツアー中に転覆事故が起き、参加者の内一人だけが亡くなっていたのだ。ツアー参加者から転覆事故の詳細を聞きだそうと奔走する中、今度は役者の坂上豊が殺害される。坂上もツアー参加者の一人であった。
クルージング・ツアーの主催者の山森は、この事件から手を引くことをあたしに強要してきたが、それを断ると、今年のクルージング・ツアーに参加することを提案してきた。何かの罠かもしれないと思いつつ、今回の事件の真相を解明する情報が得られるかもしれないと考えたあたしは、友人の冬子とそのクルージング・ツアーに参加することにした。
しかし、そのクルージング・ツアーで、あたしを更なる悲しみに突き落とす事件が起きることになる。
「無人島より殺意をこめて」・・・この11文字に秘められた事件の真相とは?
当サイトの管理人より
この事件の犯人は、3件目の殺人事件が起きたとき、つまり、ちょうど小説の中ほどで予想が付いた読者も多いのではないだろうか?しかし、その犯人像についてはミスリードされていたことに終盤に気付かされる。悪い奴は裁かれるべきという勧善懲悪の思想の持ち主にとっては、何とも後味の悪い作品と言えるだろう。