加賀恭一郎シリーズとは?
加賀恭一郎シリーズの歴史は古く、小説家デビュー2作目となる「卒業」が加賀恭一郎シリーズの1作品目である。8作品目の「新参者」が出版され、この小説がテレビドラマ化で大ヒットしたことから、この作品以降は「新参者シリーズ」と呼ばれることも多くなったようだ。
1作品目の「卒業」では、刑事になる前の大学生時代が描かれており、友人たちの死の真相を探る探偵役として登場している。大学卒業後、加賀恭一郎は一旦教師になったようだが、その学校で起きたある出来事がきっかけで、自分は教師には向いていないと感じ、父の職業でもあった警察官へと転職することになる。そして、加賀恭一郎シリーズの2作品目「眠りの森」では、既に刑事(警視庁捜査一課)として登場している。
しかし、3作品目の「どちらかが彼女を殺した」では所轄(練馬署)の刑事として登場することになる。なぜ、敏腕刑事の加賀が警視庁捜査一課から所轄の刑事になったのか?この理由は、2作品目の「眠りの森」での事件が関係していたことが、その後の作品によって明らかにされている。
また、1作品目から加賀恭一郎が複雑な家庭環境で育ったことが少し触れられているが、その理由が後の作品で次々と明らかにされていくような構成にもなっている。
このように、シリーズを続けて読むことによって新たな発見をできる楽しみも用意されており、シリーズものとして工夫が凝らされている。もちろん、それぞれを単独の作品として読んだとしてもまったく問題はない。
ガリレオシリーズが、トリックの科学的解明を主体としているのに対して、新参者(加賀恭一郎)シリーズは、犯罪にまつわる人間ドラマを主体に描いている風がある。また、最後まで犯人を明かさないなど、一風変わった作風の作品などもある。