東野圭吾さんの新刊、あらすじ、おすすめなどをご紹介するサイト

トップページ > 全作品あらすじ >  パラレルワールド・ラブストーリー

パラレルワールド・ラブストーリー

あらすじOutline

大学院生の敦賀崇史は、週に三度、決まった時刻に山手線の電車に乗って大学の資料室に通っていた。その電車は、田町駅と品川駅間では京浜東北線と併走していたが、毎週火曜日には、併走する京浜東北線の電車にいつも同じ女性が乗っていることに気付き、やがてその女性に恋心を抱くようになる。そして、就職してしまうためにこの山手線を利用する最後の火曜日となった日に、崇史は彼女が乗っている京浜東北線の電車に乗り、思い切って声を掛けてみようと決心した。

しかし、そのいつもの車両に彼女の姿はなかった。落胆しながら何気なくいつも自分が乗っている山手線の電車のほうを覗いてみると、驚くことに彼女の姿があった。次の駅で急いで電車を乗り換えるも、とうとう彼女を見つけ出すことができなかった。そして、就職して、その電車に乗ることがなくなった崇史は、二度とその彼女に会うことはなかった。

崇史には、三輪智彦という学生時代からの親友がいた。社交的で多くの友人に囲まれていた崇史に対して、智彦は肉体的なハンデがあったせいか、内向的な性格であった。しかし、崇史と智彦は、一番の親友であるとお互いに思っていた。ある日、智彦は崇史に「恋人を紹介したい」と告げた。智彦には、肉体的なハンデのせいか今までに彼女と呼べる者がいなかった。親友のはじめての恋人に喜ぶ崇史であったが、その智彦が連れて来た津野麻由子という女性の顔を見て愕然とする。その女性は、自分がかって恋心を抱いていたあの女性だったからだ。崇史は、親友の恋を祝福する心とは裏腹に、強烈な嫉妬に苦しむようになる。

ところが、ある日目を覚ますと、麻由子は自分の恋人になっていた。そして、不思議なことに崇史はそれをまったく疑問に感じていなかった。崇史の記憶では、智彦が崇史に麻由子を紹介し、それで二人が付き合ったことになっていた。

しかし、やがて崇史は疑問を抱くようになる。きっかけは、親友の智彦の所在を、自分が何ヶ月もまったく気にも掛けていなかったことに気付いたからだ。あの大親友の所在を何ヶ月も気に掛けないなんてことは考えられなかった。また、麻由子は智彦の恋人として自分に紹介されたのではなかったか、という記憶も蘇って来た。しかし、現状との矛盾から、それは夢に違いないと崇史は結論付けるしかなかった。

麻由子は親友の恋人という現実。自分の恋人という現実。どちらが本当の現実なのか?決して交わることがない二つの世界の真実とは?

当サイトの管理人より

好きになってはいけない相手を好きになってしまい、その心を抑えることができない。この「パラレルワールド・ラブストーリー」は、恋愛小説の王道のような物語ではあるが、それにSFというスパイスが加わったことにより、恋愛とは無縁となってしまった管理人にも実に面白く読み進めることができた作品であった。誰も幸せになれない結末は、実に切なかった。

購入Purchase

ページトップへ戻る
Copyright(C) 東野圭吾ナビサイト All Rights Reserved.