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幻夜

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あらすじOutline

水原雅也の父・幸夫は、工場経営の失敗による借金苦で自殺した。その通夜には、亡くなった幸夫の妻の弟・米倉俊郎も出席していた。敏郎は、半ば幸夫を騙して書かせた借用書を持っていた、彼が通夜に来た狙いは幸夫の保険金でだった。幸夫が書いた借用証を盾に、息子の雅也に返済を迫ることが目的だったのだ。雅也は苦々しくは思いながらも、敏郎の要求に従うしかないと考えていた。

しかし、その通夜の明け方に未曾有の天災「阪神淡路大震災」が発生した。雅也は難を逃れたが、叔父の敏郎は瓦礫の下に埋まって瀕死の状態であった。雅也は、敏郎への借金返済から逃れるために、被災に見せかけて敏郎を殺害することを決意する。そして、そばにあった瓦を敏郎の頭に振り下ろした。

しかし、その殺害現場を一人の女性に目撃されてしまう。女性の名は新海美冬。彼女もこの震災で両親を亡くし、茫然と立ちつくしているところ、その殺害現場をたまたま目撃してしまうのである。雅也は、美冬が警察に告発をするのを覚悟するが、なぜか彼女はそうしなかった。それどころか、敏郎を殺害したのは雅也でないかと疑問を持った敏郎の娘夫婦たちがその証拠を掴もうとしたときに、未然に手を打って助けてくれたのである。

そして、彼女は一緒に東京に出ることを雅也に持ちかける。「二人が幸せになるためや!」美冬はこの言葉で次々と雅也に悪事を実行させていく。疑問を抱えつつも、美冬を愛するがゆえに、美冬の指示に従っていく雅也。しかし、やがて成功を遂げていく彼女の思いもかけない真の姿が次々と明らかになっていく。

当サイトの管理人より

この「幻夜」は、「白夜行」の主人公・唐沢雪穂であるとする見方もある。しかし、ドラマ版の「白夜行」を観てしまったせいか、どうも「白夜行」の唐沢雪穂と「幻夜」の新海美冬が一致しない。「幻夜」の新海美冬は鬼畜にしか思えないが、「白夜行」の唐沢雪穂にはまだ人間性が感じられたからである。しかし。これが時の流れというものなのかもしれない。

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