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クスノキの番人

あらすじOutline

お客さんに自社商品の欠陥を漏らしたという理由で、直井玲人は、一年ほど働いた会社を突然解雇されることになる。

玲人は、「欠陥があることを知りながら、それを客に言わないなんてインチキじゃないですか」と社長に抗議したが、結局、未払給料も退職金も払われないまま解雇されることとなった。

不当解雇であると憤慨した玲人は、退職金代わりにその会社の高価な機械を盗むことを決意し実行に移すが、結局は警察に逮捕されることになる。
罪状は「住居侵入・器物破損・窃盗未遂」であり、玲人は、起訴されるのを待つだけの身となった。

これからの人生を犯罪人として歩むしかないのかと悲観する玲人を救ったのが、亡き母の腹違いの姉である柳澤千船であった。
千船は、被害者側の会社と示談交渉し、多額な示談金を支払うことで、玲人が起訴されるのを防いだのだ。
この多額な示談金は、柳澤千船が支払ってくれたのだが、その代わりに条件が与えられた。それは、ある神社の御神木であるクスノキの番人を務めることだった。

そのクスノキは、「その木に祈れば、願いが叶う」という、神社の御神木であれば、ありがちなキャットフレーズを持つ木に過ぎなかったが、玲人は、このクスノキの番人を務めあげていくうちに、この御神木の真の力を知ることになる。それは、経験した者でなければ、にわかに信じることが出来ない不思議な力であった。

やがて、なぜ玲人にクスノキの番人の役割を任せることを千船が決断したのか、その悲しい真意をも知ることになる。

当サイトの管理人より

「秘密」「時生」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」と同じファンタジー的な要素が強い小説となっているので、この手の小説が好きな方は、読めばきっと感動するでしょう。

この小説のキモは、千船と玲人の関係性ではあるが、それ以外にも、疎遠になった兄弟や実子でない親子などの関係性が、この不思議な力を持つクスノキを通して感動的に描かれている。

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