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あらすじOutline
高級住宅街のある一軒家が火事で焼失した。燃え落ちた屋敷からは二人の遺体が見つかった。一人は都議会議員の藤堂康幸、もう一人はその妻で、元女優の江利子であった。
夫の康幸の遺体の首には絞殺された跡があり、妻の江利子の遺体は風呂場で首を吊った状態で見つかったとこから、一見、妻が夫を殺し、自殺したという無理心中のように見えた。
しかし、鑑識の結果、妻の江利子にも殺害された痕跡が見つかり、無理心中を偽装した殺人事件だということが判明した。
この事件を担当することになった捜査一課刑事の五代は、所轄の生活安全課の山尾刑事とコンビを組み、被害者の人間関係を探り、被害者遺族への対応するという、いわゆる「鑑取り捜査」をすることになる。
五代たちは、殺害された二人が何かのトラブルに巻き込まれたり、人から恨みを買うようなことがなかったかを関係者らに聞き込みしたが、犯人につながるような有益な情報を得ることが出来ず、捜査は難航した。
ただ、現場から藤堂康幸のタブレット端末が紛失していることが判明し、そこに犯人につながる重要な情報があったため、きっと犯人が持ち帰ったのではないかと警察は推察した。
そんな折、事態は急展開を迎えることになる。
藤堂夫妻を殺した犯人だと名乗る人物から藤堂康幸事務所に手紙が届いたからだ。
手紙には、「非人道的行為を繰り返していた二人に制裁を加えた。夫妻の非人道的行為を証明するものを公開されたくなければ、3億円で買い取れ」といったような内容が書かれていた。
無理心中を偽装したにも関わらず犯行声明の手紙を出す、という犯人の矛盾する行動に違和感を覚えつつ、警察はこの要求に応じないという方針を打ち出した。
すると今度は、藤堂夫妻の娘の榎並香織のスマートフォンに犯人からのメールが届いた。メールの内容は、「このメールは、藤堂康幸のタブレットから送信している。このタブレットを3千万円で買い取ってもらいたい」というものだった。
やはり、現場から無くなったタブレットは、犯人が持ち去ってしまったようだ。
この2回の犯人からの要求内容に、何かちぐはぐな部分を感じた五代刑事は、犯人の真の目的が別のところにあるのではないかと推察した。
そして、五代刑事たちの捜査が進められていくうちに、驚愕の真実が明らかになっていく。
当サイトの管理人より
なぜこの小説に「架空犯」というタイトルが付いたのか、その理由が物語の後半部分で明らかになる。また、この事件に関わっているかもしれない怪しい人物も、前半のかなり早い段階で推理できると思う。この怪しい人物がどのように事件に関わっているのかを推察しながら読み進めていくと楽しめると思う。