「真夏の方程式」湯川のキャラクターを変えてしまった恭平少年

「子供嫌い」というガリレオのキャラクター

「子供嫌い」というのが湯川のキャラクターのひとつ。このことは、ガリレオ愛好家にとっては周知のこと。直接触れ合うとジンマシンが出るほどなので、子供と話すときは基本的には第三者を通じて話すほどの筋金入りなのです。

しかし、この「真夏の方程式」を読んだだけでは、湯川が子供嫌いなどとはとうてい想像できない。むしろ積極的に子供と関わろうとしているのだ。このように湯川のキャラクターさえも変えてしまった少年というのが、この小説に登場する恭平少年なのである。

では、なぜ湯川は恭平少年には拒否反応が出なかったのか?

この理由も実に湯川らしいのだが、恭平少年が偏屈者だったからである。それが証拠に、湯川は恭平少年のことを「偏屈少年」と称している。「偏屈者」とは、常々湯川自身が周囲の人たちから思われていること(湯川本人は、そんなことはまったく意に介さないのであるが)。「類は類を呼ぶ」ではないが、同じ偏屈者同士で惹かれあったということであろう。

さて、この恭平少年に、大きな難問が襲い掛かることになる。それは、自分でも知らないうちにある事件に関わってしまった恭平少年の行動に関するものだった。それが、この小説のタイトルにもなった「真夏の方程式」である。

少年の人生を大きくねじ曲げてしまうかもしれないこの難問に気付いてしまった湯川。本来なら、自らは事件に関わろうとしない湯川であるが、この少年の将来を案ずるあまり、積極的に事件の真相を突き止めようとするのである。

この小説の最後で、この方程式を解くために湯川が恭平少年に伝えたこと。その言葉こそが読者に伝えたかったことなのであろう。

>>>小説【真夏の方程式】のあらすじはこちらから

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