「さまよう刃」被害者家族はどうしたら救われるのか?

<上記の画像は、韓国映画「さまよう刃」公式サイトより引用>

復讐は本当に許されないことなのか?

小説だけに限らず、サスペンスドラマなどもけっこう観るほうです。

ドラマは小説と違って、配役だけで犯人の予想がつくのが難点ですが、それでもテレビにツッコミを入れながらもよく観ているほうだと思います。

そんなサスペンスドラマ(特に、二時間もの)の中で、僕をいつも白けた気分にさせるセリフがあります。
それは、復讐を遂げようとする犯人に対して、それを思い止まらせようとする主人公の刑事などが言う次のセリフです。

「どんな理由があろうとも、人を殺すことは許されない」

そんなこと、復讐を遂げようとする人間は鼻から分かっているはずで、それでも抑えきれない憎悪が復讐へと駆り立てているはずなのです。
なのにも関わらず、先のセリフぐらいで思い止まってしまう犯人の姿なんかを観てしまうと、さすがに失笑しか浮かばないのである。

さらに、「被害にあった○○さんは、あなたが復讐することなどは望んでいない」というセリフ(これもありがちなセリフだが)には、「あんたはイタコですか?殺された本人の声を聞いたんですか?」と思わず突っ込みたくなる。

まさに、被害者家族の憎悪と苦悩を無視した理想主義者の発言にしか聞こえないのである。

僕は、犯罪者の中には、この小説に出てくる少年のように更正する可能性など微塵のかけらもない人間がいると思っています。そういう非人間的な犯罪者の被害に自分の大切な人間を殺されることを想像すれば、とてもじゃないが「復讐は許されない」なんて言葉を軽々しく口にできないと思っている。

でも、自分自身そのような不条理な目に遭っていないので、その時にどれほどの悲しみと憎しみが襲いかかるのかは、多分まだまだ想像し切れていないと思う。だから、自分がそういう目に遭ったときに復讐に走るかどうかも分からない、というのが正直なところである。

ただ、この「さまよう刃」を読んで、先のような理想主義者の言葉を受け入れられない被害者家族の憎悪と苦悩が少しは理解できた気がする。これほど被害者の父親に同化してしまうという経験もなかなかないことある。

レイプの描写がドギツイので読むのに苦痛をともなうかもしれないが、ここまで描かれているからこそ、復讐を遂げようとする被害者の父親の憎悪と苦悩が理解できるのではないだろうか。

>>>小説【さまよう刃】のあらすじはこちらから

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