「悪意」犯行動機捏造の巧妙さに感服

<上記の画像は、ホームページ「NHKONLINE」より引用>

間寛平、佐々木蔵之介主演でドラマ化された作品「悪意」

2001年11月にNHKで6回に分けて放送された「悪意」は、1996年9月に単行本で、2000年1月には文庫本で発売された作品である。

この小説「悪意」の面白さは、犯人の犯行動機捏造の巧妙さであろう。現実世界でこれをやられてしまったら、犯人の思い通りに警察が踊らされても仕方ないであろうと思えるほどである。東野圭吾がこの小説に“悪意”というタイトルを付けたのもうなずける。

その巧妙さとは、真の犯行動機を隠すためにニセの犯行動機をでっち上げ、そのニセの犯行動機を犯人自ら語るのでなく、警察が捜査上で見い出すように仕組んだことである。警察が捜査上で自ら見い出した証拠ということが、このニセの犯行動機の信憑性を増す結果となってしまったわけだ。

どのように巧妙であったのか、物語を順に追ってみると、以下のようになる。

まず物語は、犯人・野々口修によって書かれた日高邦彦殺害事件に関する手記からはじまっている。野々口が書いた最初の手記の段階では、まだ野々口が犯人だと判明していないので、野々口が他の犯人を推理するかのような内容になっている。

しかし、加賀刑事は、手記と現状の矛盾から野々口が犯人ではないかと推理し、その証拠を積み上げていく。やがて、野々口は観念し、自分の犯行であることを自供する。しかし、その犯行動機については語ろうとはしない。

犯行動機にこそ、この事件の本質があるのではないかと考えた加賀刑事は、その犯行動機を暴こうとする。そして、犯行動機につながるかのような証拠を、加賀刑事は次々と見つけ出していく。加賀刑事の慧眼に屈服した野々口は、ついにその犯行動機を明かしていく。野々口の犯行動機は、自分の夢と愛する人を奪った日高への復讐だったのだ。

しかし、自分が証拠を突きつけて引き出した野々口の供述にも関わらず、その犯行動機になぜか釈然としないものを加賀刑事は感じる。そして、ついにその犯行動機は、真の犯行動機を隠蔽するために巧妙に仕組まれた犯人・野々口のフェイクであることに気付くのである。

大体の物語の流れは以上である。かなりのネタバレにはなってしまったが、実際にどれだけ巧妙であるかは、実際に小説「悪意」を読んで、自分の目で確かめていただきたい。

>>>小説【悪意】のあらすじはこちらから

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