「ガリレオ」内海薫というキャラクターが誕生したワケ
<上記の画像は、フジテレビ「ガリレオ」特設ページから引用>
内海薫誕生秘話
ガリレオシリーズの小説をすべて読んでいる方はご存じだと思うのですが、小説では、ガリレオシリーズ第3弾の【容疑者Xの献身】まで、内海薫刑事はいっさい登場していません。
もともとが、刑事の草薙が抱えた難解な事件を、物理学者の湯川が科学的見地から解決するという設定の小説であったため、女性刑事の登場はなかったのです。つまり、湯川准教授と草薙刑事の二人が主役の小説、それが小説版「ガリレオ」だったわけです。
それに、ネタ切れのため、【容疑者Xの献身】以降このシリーズで小説を書くことはないであろうと、東野圭吾は考えていたらしいのです。だから、内海薫という女性刑事は、ガリレオシリーズでは登場しなかった可能性もあったのです。
ところが、これでガリレオシリーズ最終作にしようと考えていた「容疑者Xの献身」が、2006年の本格ミステリ大賞や2005年下半期第134回直木賞など数々の賞を総なめにするベストセラーとなってしまった。そこでTV局(フジテレビ)は、既に短篇集で出版されていた「探偵ガリレオ」「予知夢」をガリレオシリーズとしてテレビドラマ化することを東野圭吾氏に打診したのです。
しかし、テレビドラマに当たっては、フジテレビ側からある提案がなされました。その提案が、華をそえるための「女性刑事」の起用でした。東野圭吾氏は、女性刑事を先に自分の小説に登場させることを条件にこの提案を承諾し、内海薫刑事がガリレオシリーズに登場することになったのです。
そして、福山雅治(湯川准教授)と柴咲コウ(内海薫刑事)を主演としたテレビドラマ「ガリレオ」は、平均視聴率20%を超える大人気番組となります。こうなると、あらゆる賞を受賞した「容疑者Xの献身」の映像化も当然話に出てくるわけです。既に、テレビドラマ「ガリレオシリーズ」にはなくてはならない存在となってしまった内海薫刑事。映画化の成功を考えると、登場させないわけにはいかなくなったわけですね。
つまり、内海薫という女性刑事は、映像用に作り上げられたキャラクターだったわけです。
そして映像版では、湯川教授との絡みは内海薫刑事のほうが断然に多くなり、小説版ではメインキャラクターだった草薙刑事がサブキャラクターへと降格させられてしまったというわけです。